ICRPへのコメント
2011年3月11日の直後には、いろいろな勉強会で「放射線防護の基準」について学びました。そして、学校再開の基準が38マイクロシーベルトとされたことについて、大きな市民運動が起こり、それは5月に、表面上は撤回されましたが、実質は何も変わらないままでした。というのも、日本政府は「事故直後は1-20mSvに被曝を抑える」という数値の一番高いところを実質的な基準としたからです。
つまり、ICRPの予防原則のいかんに関わらず、日本政府はその上限値を様々な判断基準に使うのだということです。
その原文を読むと、「事故後の緊急事態」というのがいつまでのことなのか、はっきりとしていないと思いましたが、少なくとも2012年に終息宣言を政府が出した以上は、この基準は使うべきではないと思いましたが、実際にはいまだに20mSvが判断基準になっています。ICRPはそのような日本政府の行動パターンをご存知ないのでしょうか? 原子力防護において最も大切にされるべきこと、予防原則を貫くのであれば、「安全サイド」を示す責任がICRPにはあるということです。さもなければ、ICRPの科学者は全員、傲慢な、未来の世代にツケを回すエセ科学者だという汚名を被ることになるでしょう。
もう一点、今回の改定で、大切なことは、福島第一原発の過酷事故が起こった後の改定であるという点だと思います。誰のための防護規定なのでしょうか? 被爆者のためであるならば、この過酷事故の被災者である日本人に、改定の内容を届ける努力をすべきではないでしょうか?
今現在も、日本において生成しつつある過酷事故後の現実をしっかりと押さえた上で、改定に臨んでいただきたいと思います。