Attached below is an edited compilation of the participants' comments raised at a public forum held in Fukushima City on 20 October 2019 by the Citizen's Commission on Nuclear Energy (CCNE).
Japanese text follows.
原子力市民委員会(CCNE)フォーラム in 福島
http://www.ccnejapan.com/?p=10477
《福島原発事故後の『放射線防護』をふりかえる ── ICRP勧告改定案の検証とともに》
で挙げられたコメント
2019年10月20日(日)に原子力市民委員会の主催で福島市(コラッセふくしま)にて開催した上記フォーラムで、ICRPの「大規模原子力事故における人と環境の放射線防護」勧告案に関して挙げられたコメントを記載する(主催者要約)。
■ANNEX Bにいくつか変だと思うところがある
・SPEEDIの記述がない。放射線防護に関して、SPEEDIが活用されずに人々が汚染された地域に避難したことは非常に大きな失敗だった。
・初期段階の箇所に避難した人が死亡したことが書いてあるが、「避難させる際に重大な困難に遭遇した」としか書いていない。防護服を用意できなかったことや、放射線量が高くて救助に入れなかったことなど、裁判などで明らかになっている。こうした記述がない。
・なぜ、今頃このようなものを出すのかが分からない。十分な情報が把握されていない中で、このような結論めいたものを出してよいのか。
■SPEEDIが公開されなかった問題について
・放射能のプルームと同じ方向に逃げたことはあってはならないことだった。
・情報弱者にはいつまでも情報が届かなかった。情報を早く出すべきであった国・県の責任があると思うが、そういうことが書かれていない。
・SPEEDIが公表されなかったことは、福島原発事故の放射線防護においてとても大きな問題を残したのではないか。
■原発事故時の被ばく量の基準が分からない(ディスカッション内容含む)
・ICRPの勧告を見て、良いことが書いてあると思う部分もあるが、一方で、福島市内に住んでいる身として勧告通りにならなかったと思うところがある。
・いまだに、緊急時と現存被ばく時の期間は曖昧で分からない。同じタイミングで文科省と原子力安全委員会で解釈が異なるなど、日本政府自身も使い分けが曖昧だった。
・自宅の線量を2011年にはかったら、年5mSv以上で放射線業務従事者よりも被ばく量が多かった。家の中で、放射線管理区域よりも高い線量だった。はっきりした基準があれば、自主避難するにあたっても家族の説得や賠償の面で有効だったかもしれない。基準を明確にして法整備をしていかないと、問題が解決されないのではないか。
・放射線管理区域の目安と比べて、避難区域の目安とされた20mSvという基準は高い。
・事故直後、子どもを自主避難させていたが、4月の学校再開に合わせて戻らざるを得なかった。福島市内では、そのようなケースは多かった。子どもや妊娠可能な女性、体の弱い人などもみんな一律同じ基準というのが納得できない。そのあたりも法整備が整えて、基準値を決めておかないといけない。
・ICRPの勧告案のなかにも、子どもへの影響というのは書いてあるが、実際に参考レベルなどの具体的な面においての子どもへの配慮は書かれていない。
・初期被ばくを免れられなかった。福島市は、県庁に山積みになったヨウ素剤の配布ができていなかった。事故後の対応の中でうまくいかなかったことがたくさんわかってきている。そういったことを踏まえた上で、ひとつひとつうまく解決できるようにしてほしい。
・事故から8年以上、もうすぐ9年経つというのにそうした法律が作られていないということは問題だ。法整備をしていないのは日本政府の怠慢であると思う。
・子ども被災者支援法もないがしろにされてしまった。福島の人たちは一生懸命、我慢して復興をやっているのに、いい加減にしてくれという感じだ。もう少し大切に考えてもらいたい。
・パブコメを書いて良い意見がICRPに取り入れられたとしても、日本政府がどう対応するかが分からない。どのようにパブコメを書いたら良いのか。
■参考レベルについて
・緊急時の100mSvは妥当なのか疑問に思う。福島の原発が爆発した時には、死ぬかもしれないと思った。現存被ばく状況においても、20mSvは高いと思う。除染しても子どもは土を触ったりするので制限しなければならない。線量だけでなく、原子炉が不安定な状態である限り、居住はできない。20mSvは受け入れられないと私は思う。
■富岡町のケース
・実際の帰還者は少ない。特に子どものいる世帯は帰らない。20mSvという基準に納得していない。どうにもならないので、帰らない。
・補償も3月にはすべて切れるが、それでも多くの人が帰るとは思わない。住民が納得するかしないかにかかわらず、解除や補償の打ち切りが決まっている。
・線量が低くなることだけが、帰る条件ではない。数値よりも、まず、もう二度と原発事故の危険性がないようにするということが必要。現在も福島第一原発は不安定な状態にある。今回の台風でも明らかだ。そのような状況の中で戻っても、また避難しなければいけない状況になるかもしれない。どこに放射性物質が降るのかわからない中で、また避難するのは嫌だ。もう二度と避難するような事象が起こらない状態になること、その上で、線量が下がることの二段階が必要だ。
■甲状腺がん(健康問題)について
・甲状腺がんの家族の支援をやっているが、当初は全くの素人だった。なぜ甲状腺がんになったのか、ということを誰もどこでも言ってくれない。
・これから発症して患者さんが出てくるというときに、私たちは何ができるのということが患者さんの中からも出てきている。私たちは次の患者のために何ができるのか、ということをパブリックコメントのなかで伝えたい(勧告案の中で検討されるべき点として)。
・ICRPの勧告案のなかに、福島原発事故において情報が正しく伝わらなかったということを何よりも記載してほしい。普通の人でも普通の情報を得られず、情報弱者になった。
・私たちがやっている甲状腺がんの支援のグループは小さいが、そこにこの問題の様々な要素が詰まっている。実際に事故を体験した当事者の声は重い。そこから学ぶことが重要だ。
■その他、ディスカッションの中から
・勧告案の中では、空間線量ではなく実効線量を基準にするということであったが、どのような方法で測定するのか。個人線量計なのか(ガラスバッチなどの個人線量計で測ったものを実効線量とすることの問題)。
・労働災害の場合には管理区域がある。「管理」という言葉が重要。汚染されている地域は管理されていないと言われた。管理されていない地域でどれだけ被ばくするかは、運でしかない。
・10km圏内だったので、子どもを連れて帰らざるを得ない状況もあった。その時は覚悟をもって帰らざるを得ないが、それを自己責任とされてしまうことは問題である。
・日本政府は、法的な基準値づくりを8年間放置している。
・子ども被災者支援法は予算がつかないから動かない。政治的に予算をつけて、調査や対策を行う必要がある。法律を作ればすべてというわけではなく、予算がなければ動かない。
■勧告案の中身について
・ICRP Dialogueについて、勧告案ではそれがco-expertiseの根拠になっているが、主催者側からの主観的な評価でしかない。実際に参加した人の評価も重要ではないか。
・福島原発事故の評価が何一つできていないと思う。あれも書いていない、これも書いていない、生活実感と違うところがたくさんある。書いていない重要なことには次のようなことがある。
(1)SPEEDIの情報が隠された。
(2)安定ヨウ素剤の配布が行われなかった。
(3)東電がメルトダウンの発表が隠されていた。
(4)子ども被災者支援法について一行も書いていない。
(5)政府の失敗や隠されていたことが一切書いていない。
・福島原発事故後、ICRPの勧告が放射線防護に役立ったかという真剣な振り返りがないようにみられる。
・なぜ今改訂するのか、よくわからない。日本に対する配慮があるのではないか。今回の改訂の座長も副座長も日本人である。
・ICRPは広範囲のことを扱っている。当事者の声を反映することが重要だが、パブリックコメントを書くのはなかなか難しい。生活実感と勧告がどうつながるのかがわからない。
以上
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