Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


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Submitted by yuya kamoshita, 個人です
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 原発事故が起きた際においても、その被害者に対して「被ばくを避ける権利」は最大限保障されなければならない。原発事故において、被ばくの被害を受ける被害者は原発から何の利益も得ていない。(事故を起した発電事業が利益を得いる。特に東電福島原発事故については、事故を起した東電の原発の電力は首都圏遠く離れた首都圏へ送電されており、被ばくした周辺住民は当該原発が発電した電力を使ってすらいない。)全く関係の無い周辺住民であっても、当然線量限度は守るべきで、1ミリシーベルト/年 を越える被ばくを正当化することは出来ない。改定するのであれば、緊急時であろうとも線量限度を守るよう対処することを明確にすべきだ。

 近年、100ミリシーベルト以下の被ばについてもLNTに従った影響が明らかにされつつある。医療被ばくや自然放射線において、10の-3乗台(1桁ミリシーベルト)の被ばくにおける健康被害も明らかになっている。このような調査、研究の動向を考慮に入れれば、線量限度の引き下げこそ必要な改定だと考える。例えば線量限度を年間0.05ミリシーベルトへの引き下げをけんとうしてはいかがだろうか。(緊急時の対応目標を別途提言するのであれば、あくまでも緊急時限定、(当然1年に限り)年間1ミリシーベルトに設定することも一案である。)

 福島原発事故においては、緊急時にどの程度周辺住民が被ばくしたか、測定がなされなかった。(1080人の初期甲状腺被ばくを測ったとするデータはあるが、測定方法にマニュアル逸脱があり、過小評価となっていて、参考にならない)様々なシミュレーションがあるが、1ミリシーベルトを大幅に上回る被ばくが広範囲で強いられたことは間違いない。また、帰還の基準が年間20ミリシーベルトとされており、避難生活によって被ばくを低減できていた(ほとんどの場合年間1ミリシーベルト以下)人々に対して、避難住宅の提供や賠償を打切り、帰還を促し、避けられていた被ばくを改めて強いている。このような被ばく強制は人権侵害である。

 東電福島原発事故においては、このような被ばくを強制する人権侵害が起きており、同じような人権侵害を防ぐことこそが、ICRPの努めではないか。そのためには、今回おこなわれようとしている緊急時の緩和ではなく、緊急時対応の厳格化(基準引き下げ)であろう。合わせて検討すべきは平常時の線量限度の引き下げである。

 ちなみに、私は実際に福島原発事故によって、被ばくを強いられた被害者(避難指示区域外)であり、このような事故は二度起してはならないと思っています。これだけの大量被ばく事故を起して、今生きている人々が天寿を全うした後も、核汚染が野山に、街に残る被害を受けました。恵み豊かな自然は、私たちが生きているうちに元に戻ることはありません。これだけの事故を起しながら、基準を緩和すれば、核を扱う事業者のモラルハザードが進みます。ICRPはこのようなモラルハザードの責任についてどのようにお考えなのでしょうか。ICRPは事業者のモラルハザードにお墨付きを与えるような機関に成り下がったのでしょうか。

 


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