ICRPは、自らを「パブリックの利益のため」「政府から独立」した「チャリティ(慈善)団体」と称しているが、かなり怪しい。
今回の改訂はその標題「大規模原子力事故における・・・」からして根本的におかしい。「放射線防護」に関して勧告とガイダンス
を提供するというが、「大規模事故」を前提としていることからして、被ばくを強制するのだから既に破綻し、自己矛盾に陥っている。
ある地域で核事故前は自然放射能レベルだった放射能レベルが、事故後に高い放射能汚染をもたらすが、その汚染状況を大前提に
防護の話をするのを躊躇しないのだから恐れ入る。被ばくを大前提に、すなわち実質、住民が被ばくすることに無頓着なのは、ICRP
がすでにある勢力(核関連事業利益業界、わかりやすく言い換えれば原子力ムラ)におもんぱかる団体だからである。
それは日本からの委員の顔ぶれをみても明らかである。ICRPという権威を持った勧告側と日本政府の規制側や核事業推進事業組織
に属する者が同一人物なのである。甲斐倫明氏は「放射線審議会」委員、本間俊充氏は原子力規制庁職員、伴信彦氏は原子力規制委員
会委員、藤田博喜氏と佐藤達彦氏は日本原子力開発機構職員である。一人二役、どうにでも?差配できる立場である。
「付属書Bフクシマ」に書かれた内容の情報は甲斐氏と本間氏の2名が提供したと聞く。たとえば(B42)に「福島県で発見さ
れた小児甲状腺がん症例は、事故後の放射線被ばくの影響である可能性は低い。」と記述してあるが、あくまで途中段階の見解であり
いかにも最終的結論のような書き方は改めるべきだ。この例から分かるようにICRP(の委員)は「公正」でも「独立」でもない。
まずは、上記の日本委員らは利益相反の状態なので、ICRPは甲斐氏らの委員としての適格性を審査しわれわれに真摯に説明していた
だきたい。