東京電力福島第一原発事故では、現行のICRP勧告の回復期「年1〜20mSvの下方から選択、代表的な値は1mSv」すら日本政府は採用せず、上限の20mSvを子どもや妊婦など被ばくの影響を受けやすい住民にも一律に適用しました。
今回の勧告案の文言では、回復期について「年1〜20mSvの範囲内またはそれ以下。年1mSvオーダー(程度)への段階的な被ばく低減を目的として一般的に年10mSvを超える必要がないだろう」とされ、年20mSvを選択する余地が残されていること、また、一般的にとして年10mSvもの被ばくを住民に強要することを可能としていることは決して容認できません。
日本では原発で働く人々が白血病を発症した場合の労災認定基準は年5mSvで、過去には累積5.2mSvで認定されたケースもあることを考えますと、年10mSvもの被ばくを子どもや妊婦なども含めて許容することは到底できません。
さらに、目標を年1mSvオーダーというあいまいな表現で書いていることも容認できません。
そもそも、原子力災害は自然災害とは違い、住民は原子力災害による被ばくを強要されるいわれはありません。少なくとも年1mSvを超える原子力災害による被ばくを避ける権利が住民にあることを保障すべきです。また、年1mSvを超えて原子力災害による被ばくを受けた場合の賠償請求権が住民にあることを保障すべきです。
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